強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
記憶



それから暑い夏が過ぎ去り、季節は一気に秋へと進んだ。

志穂さんは無事に元気な女の子を産んで、晴斗君はお兄ちゃんになった。妹の名前は晴斗君の漢字から一文字とって‟美晴„に決まったそうだ。

志穂さんの話によると、晴斗君はまだ小さな妹を溺愛していて、幼稚園から戻ると真っ先に美晴ちゃんのところへ向かい、片時もそばを離れようとしないらしい。

産まれる前は妹ができることを不安に感じていた晴斗君だったけれど、すっかり妹想いのお兄ちゃんへと成長した。

それは喜ばしいことだけれど少し寂しくも感じてしまうのは、あんなに私と遊ぶことを楽しみにしていたはずの晴斗君から、最近全く誘われなくなってしまったからかもしれない。


「それってまるで元カレのことが忘れられなくて引きずっている女みたいですよ」

「そ、そうかな」

「はい。元カレが今カノとラブラブなのを見せつけられてめちゃくちゃ悔しい!って感じです」

土曜日のランチ時。

今日は千華ちゃんに誘われて、新しく出来たばかりだという卵料理専門のお店でランチをすることになった。

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