強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「お前、もしかして俺と結婚すること知らなかったのか?」

「えっ」

その鋭い指摘にギクッと身体が強ばった。

真夜は、そんな私の反応を見て気付いたらしい。やっぱりそうか……と、軽くため息を吐いた。

「どうりで。俺がここに来たときのお前の顔が、まるで幽霊でも見たみたいに驚いていたわけだ」

――まだ幽霊を見た方が驚かなかったかもしれない。

真夜だから驚いたんだ。

もう二度と会わないつもりでいたのに、不意に私の前に現れたりするから。


しかも結婚ってどういうことだろう……。


父から電話をもらったときにしっかりと聞いていなかった私も悪いけど、そもそもあんなに遅い時間に電話を掛けてくる父だって悪い。

そう思ったら、じわじわと怒りが込み上げてきた。

「だいたいお父さんがいけないんだからっ!」

私は真夜に愚痴をこぼすように全てを打ち明けた。

この結婚についての電話を父から貰ったのが深夜の一時過ぎだったこと。熟睡しているところを起こされたせいで、寝惚けながら適当に話を聞いて、通話を終わらせてしまったこと……。
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