強引な政略結婚が甘い理由～御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない～

「――それで、保しなの経営が傾いていることも、俺との結婚も、今さっき初めて知ったってことか」

「そう」

「なんだか久志さんらしいな」

「だよね」

父の大雑把な性格に二人でため息をつきつつ、真夜からさらに詳しい説明を受けた。

それによると、どうやら私たちの結婚はこういうことらしい。

数年前から徐々に傾き始めた保しなの経営はすでにどう足掻いても回復するのは難しく、父は泣く泣く廃業を選択したそうだ。

けれど、それに救いの手を差し伸べたのが真夜の実家が経営するシヅキホテルグループ。

昔から懇意にしている保しながこのまま潰れてしまうのはもったいないと援助を申し出てくれた。

さらに、このことをきっかけに業務提携も結ぶことになり、真夜が総支配人を務めているホテル Viola Luna の最上階のスペースに、保しなの支店を出すことになった。