強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
今でこそ重大な経営不振に陥ってしまった保しなだけれど、元々は名の通った老舗の名店。

その支店を出すことでシヅキホテルグループはホテルに拍がつくし、和食料理を強化することで増えつつある外国人観光客をさらに呼び込めることを見越したらしい。

つまり、この提携は双方にメリットがあるということ。

「……なるほど。さすが真夜のお父さん」

保しなも存続させて、自身のホテルの利益も見込むとは、考えることが鋭い。

私は、思わずウンウンと頷いた。

でも、ひとつだけ引っ掛かることがあり、首をかしげる。

「そのことと私と真夜の結婚はどう関係があるの?」

「そこなんだけどさ、聞いたらしょうもなくて呆れるかも」

そんな前置きをしてから、真夜が教えてくれる。

「なんか話のノリらしい」

「ノリ?」

「業務提携するんだから、ついでにお互いの子供同士も結婚させようって親父たちで話が盛り上がって、そのままトントン拍子で話がまとまったみたい」

「なにその軽いノリっ!」

思わず突っ込んでしまう。

ノリが良くて陽気な性格のうちの父はともかくとして、真夜のお父さんってそういう人だったかな。

そういうことには厳格なイメージがあったけど……。

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