強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「それ何?」

「ランチビュッフェのチケット」

「ビュッフェ?」

「来週からうちのホテルのレストランで、期間限定のランチビュッフェが始まるんだけどそのチケット。最上階にあるレストランだから眺めも最高だぞ」

「へぇ~」

緩く返事をしながら思い出す。

そういえば、そのレストランになら、去年の九月に、大学の頃の友人の結婚式で行ったことがあるかもしれない。確か、披露宴会場の場所が最上階で、普段はレストランとして営業していると聞いた。

ビュッフェ会場がそのレストランだとしたら、披露宴のときに出てきた料理がどれも美味しかったのを覚えているから、またあのときの料理を食べられると思うと嬉しい。

「ありがとう真夜」

そう伝えて、さっそくチケットを受け取ろうとする。けれど、真夜がそれをすっと背中へと隠してしまった。

そのよく分からない行動に思わず眉間に皺が寄ってしまう。そんな私を見ながら、なぜか真夜は楽しそうにニヤニヤと笑っている。

「タダではあげられないな」

「えっ、まさかお金とるの?」

さっきあげるって言ったのに嘘つき! ケチ!

「いや、お金は取らないけど」

「けど?」

「真夜大好きありがとうって言ってくれたらあげる」

「は!?」

なんだそれめんどくさい!

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