強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「えー! これ本当に貰っていいんですか!?」
お昼休み。ほぼ満席の社員食堂に、ぱぁっと華やいだ声が響いた。
彼女は、私と同じ経理部のひとつ下の後輩の千華ちゃん。
いつものように一緒にランチをとっていると、昨夜、真夜から貰ったランチビュッフェのことを思い出した。千華ちゃんを誘ってみると『ぜひ行きたい』と言われたのでチケットを一枚渡したら、予想以上に喜んでもらえた。
「チケット二枚あるから一緒に行こう」
「やったー! ありがとうございます、明さん」
私ずっと行ってみたかったんですー! と、千華ちゃんがチケットに頰ずりまでして喜んでいるのを見ると、彼女を誘ってよかったと私まで嬉しくなる。
千華ちゃんがチケットを大事そうに財布にしまいながら口を開いた。
「Viola Luna のレストランのランチビュッフェって季節ごとに年四回、二週間の期間限定であるんですけど、いつもすごく並んでいて二時間待ちとかになるらしいですよ」
「二時間待ち⁉」
まるでどこかのテーマパークの人気アトラクション並みの待ち時間に驚いてしまう。
そんなに人気のあるランチビュッフェだとは知らなかった。