強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「それにしても羨ましいですよぉ。旦那さんは大企業の次期社長だし、顔もめちゃくちゃかっこいいし。結婚式のときなんて、あまりにもイケメンオーラがあり過ぎて見蕩れちゃいましたもん。たぶん参列者の女性のほとんどがそうだったと思いますよ。……あっ、もちろん明さんのウエディングドレス姿もきれいで見蕩れちゃいましたからね」

「……そこで気を使って私のこと付け足してくれなくても大丈夫だから」

余計にみじめな気分になってしまう。

それに自分でも気付いている。

あの結婚式は、華やかなウエディングドレス姿の私よりも、真っ白なタキシードを華麗に着こなしていた真夜の方に視線が集まっていたことを……。

当日のことを思い出して一人で落ち込んでいると、エビフライを食べ終えた千華ちゃんが、不意に私の方へ顔をぐっと近付けてきた。

「明さん、気を付けたほうがいいですよ」

「気を付けるって?」

「旦那さんイケメンだしお金持ちだから、既婚者だと知っていても近寄ってくる悪い女が絶対にいますから。浮気の心配は絶えないかもしれません」

「浮気……」

その言葉を噛み締めながら、ふと子供の頃のことを思い出す。

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