強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
そういえば、真夜は昔からとにかく女性人気がすごかった。

女好きというわけではないけれど、たぶん告白されたら断れない性格なのか、中学生の頃から隣を歩く彼女が耐えなかったように思う。


『実は俺にはお嫁さん候補がたくさんいるんだ』


私の告白の返事に使われたあのセリフも、冗談のようで、あながち嘘ではないような気もする。

子供時代からとにかくモテる真夜のことだから、親に決められた結婚相手の私と結婚する以前にも付き合っていた彼女がいたっておかしくない。いや、絶対にいたはずだ。


『俺は好きだよ』


昨夜、私に向かって真夜はそう言った。けれど、あれはやっぱりただの冗談だと思う。

あの場限りの言葉で本気じゃない。

昨日は、会食でお酒もたくさん飲んでいただろうしきっと酔っぱらっていたんだ。

好きだよ、なんて言われて、初めはつい動揺してしまった。けれど、一晩寝て冷静になると、真夜のあの言葉を真に受けてはいけないような気がした。

子供の頃から、私は真夜に数えきれないくらいたくさんの告白をして、そのたびに振られ続けている。それなのに、今さら真夜が私に対して‟好き„なんて言うはずない。


だから、真夜のあの言葉はもう忘れることにした。


真夜と私の結婚はいわゆる政略結婚。


真夜は、私に対して幼馴染の情はあっても、恋愛感情は一切ないんだから……。


< 38 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop