強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
実家がホテル会社を経営している三十一歳のお金持ちのイケメン。しかもバリに暮らしていたことがある。

……ふと真夜のことが思い浮かんだ。

すると、千華ちゃんも同じことに気が付いたらしい。「あ……」と呟いて私を見つめると、顔の前でぶんぶんと大きく手を振った。

「いや、たぶん違うと思いますよ。明さんの旦那さんじゃないですって」

千華ちゃんはそう言うけれど、彼女から聞いた東雲優愛さんの元恋人の情報が真夜と重なり過ぎている。

それに、優愛さんが恋人と破局したのが今から半年ほど前。私と真夜の結婚が両方の父親同士で決まったのもその頃だ。

もしも優愛さんの元恋人が真夜だったとして、私との結婚を理由に二人が破局したなら時期がちょうど合う。

そういえば以前、『結婚の約束をしていた人がいる』と真夜が言っていたことを思い出す。もしかしてその相手が優愛さん?

それに昨日の朝。真夜を起こしに行くと、寝ぼけながら彼は『ユア』と言っていた気がする。


――やっぱり、真夜が優愛さんの元恋人なのかもしれない。


そんなことを考え出したら気になって、モヤモヤとした気持ちがしばらく止まらなかった。

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