強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
その日の仕事終わり、帰宅の電車の中でスマホを使って東雲優愛さんについて検索をしてしまった。
年齢は三十一歳。身長は百七十五センチと女性にしては長身で、さすがモデルとして活躍しているだけはある。
肩より少し下の位置で切り揃えられた黒髪に、ぱっつんとした前髪。色白の肌に、きりっとした目元。まさにアジアンビューティーの美しい人だった。
真夜と並んでいる姿を想像するとすごくお似合いで。まだ真夜が優愛さんの元恋人だと決まったわけではないけれど、勝手に落ち込んでしまう。
そんなどんよりとした気持ちを抱えたままマンションに帰宅すると、それを振り払うように晩ご飯の支度にとりかかった。
メニューは昨日の残りの筑前煮を使ったカレーだ。コトコトと煮込んでいると、珍しく真夜がいつもよりも早く帰宅した。
「ただいま……おっ、いいにおい」
リビングへ入ってくると、カレーのにおいに釣られながら真夜がキッチンへとやってくる。
鍋をかき混ぜている私のすぐ後ろに立つと中身を覗き込んだ。