強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「れんこん、ごぼう、しいたけ、それにこんにゃくも入っているのか。へぇ、昨日の残りが見事にカレーになってる」

「汁も使ったから和風でまろやかになってると思うよ。味見してみる?」

スプーンでカレーをすくうと、それを後ろにいる真夜に渡そうとした。けれど、不意に手首を掴まれて驚いてしまう。

そのままぐいっと引き寄せられると、真夜が私の持っているスプーンを口の中へと入れた。

その行動に思わずドキッと鼓動が跳ねると、カレーの味見を終えた真夜がスプーンから口を離した。

「おお、うまい!……って、明どうした?」

「……」

さっきの真夜の行動にすっかり動揺してしまった私は、彼の顔を真正面から見ることができない。

今の私の顔は絶対にタコのように真っ赤だ。


「お前なに照れてんだよ」

「て、照れてないよ」


そんな動揺を真夜に気付かれたことが恥ずかしくて、伏せていた顔を上げた。目が合うとまたドキッとしてしまう。

「味見したなら手離してよ」

真夜の手が私の手首を握ったままだったので小さな声で文句を言うと、なぜかさらにきつく握られた。


「そんなかわいい反応されると、こっちも味見したくなるんだけど」

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