強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
真夜が私の手首を引っ張ってさらに引き寄せる。
その顔がだんだんと近づいてきて、もしかしてこのままキスされる?そう思った瞬間、なぜか優愛さんのことを思い出してしまった。
私は、真夜に掴まれている手とは反対の手で、真夜の胸を強く押してしまう。
「ご、ごめん」
思ったよりも強い力で押してしまったことに謝ると、真夜が小さく頭を振る。
「いや、俺の方こそごめん。調子に乗った」
真夜の手が私の手首からさっと離れていく。
「着替えてくるから早く飯にしよう」
いつもの調子で真夜は明るくそう言うと、私に背を向けてリビングを出ていこうとする。
「真夜っ」
その背中を思わず呼び止めてしまった。
「どうした?」
真夜が振り返る。
――東雲優愛さんのこと知ってる?
そう尋ねようと思った。でも、返事を聞くのがこわくてなかなか口から出てこない。
私の‟勘„が当たっていたらどうしよう。
真夜は優愛さんの元恋人で、私との結婚があるから二人は仕方なく別れることになった。
そんな返事を真夜の口から聞くことになるかもしれないことがこわくて、結局、私は何も尋ねることができなかった。
「えっと……ライスの量は? 大盛り? それとも中盛り?」
代わりにどうでもいいことを聞いてしまう。
「じゃあ大盛りで」
私の質問に真夜は笑って答えると、リビングを後にした。
気が付くとカレーの入った鍋はグツグツと沸騰していて、私は慌てて火を止めた。
その顔がだんだんと近づいてきて、もしかしてこのままキスされる?そう思った瞬間、なぜか優愛さんのことを思い出してしまった。
私は、真夜に掴まれている手とは反対の手で、真夜の胸を強く押してしまう。
「ご、ごめん」
思ったよりも強い力で押してしまったことに謝ると、真夜が小さく頭を振る。
「いや、俺の方こそごめん。調子に乗った」
真夜の手が私の手首からさっと離れていく。
「着替えてくるから早く飯にしよう」
いつもの調子で真夜は明るくそう言うと、私に背を向けてリビングを出ていこうとする。
「真夜っ」
その背中を思わず呼び止めてしまった。
「どうした?」
真夜が振り返る。
――東雲優愛さんのこと知ってる?
そう尋ねようと思った。でも、返事を聞くのがこわくてなかなか口から出てこない。
私の‟勘„が当たっていたらどうしよう。
真夜は優愛さんの元恋人で、私との結婚があるから二人は仕方なく別れることになった。
そんな返事を真夜の口から聞くことになるかもしれないことがこわくて、結局、私は何も尋ねることができなかった。
「えっと……ライスの量は? 大盛り? それとも中盛り?」
代わりにどうでもいいことを聞いてしまう。
「じゃあ大盛りで」
私の質問に真夜は笑って答えると、リビングを後にした。
気が付くとカレーの入った鍋はグツグツと沸騰していて、私は慌てて火を止めた。