強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
マンションに着くと、すぐ明に浴室へ押し込まれた。
どうやら俺がシャワーを浴びている間に晩ご飯の支度をしたいらしく「のんびり入ってきていいよ」と言われた。
のんびりと言われてもお湯に浸かるわけではないので、そんなに時間を潰せない。それでも気持ちゆっくり目に全身を洗ってリビングへ戻ると、明はまだキッチンでバタバタと料理を続けていた。
美味しそうないい匂いに腹が減ってくる。
今日は昼頃に突然来客があり、そのまま話し込んでいたら午後一の会議の時間になって、昼食を食べ損ねてしまった。
「真夜。早く服着てよ」
ソファに座りながら、首にかけているタオルで濡れた髪をふいていると、キッチンの方から明の不満そうな声がした。
「服? 着てるだろ」
「下だけね」
今の俺の格好は、上半身は何も身に付けていないが、下はちゃんの黒のスウェットをはいている。シャワーを浴びたあとはなんとなくすぐに服を着る気になれない。
そういえば、明と一緒に暮らし始めた頃、シャワーを浴び終えてリビングへ戻ると、上半身裸の俺を見た明が悲鳴と共に慌てて自分の目を隠していたっけ。早く服着てよ! とか言いながらプンプン怒っていた気がする。
俺は、タオルで軽く髪を乾かすと、裸の上半身にTシャツを身に着けた。