強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
明の料理も出来上がったらしい。

ダイニングテーブルに、大きなハンバーグが乗ったプレートが置かれる。ブロッコリーやにんじん、コーン、ポテトが添えられていて彩りもいい。そこにコーンクリームスープも加わった。

「本当はもっと作るはずだったのに」

間に合わなかった……と、残念そうに呟きながら明がエプロンを外す。

「これだけあれば十分だろ」

わざわざ俺の誕生日のために作ってくれただけで俺は嬉しい。

「ほら、早く食べるぞ」

それから二人で向かい合ってイスに座ると、こんな日にちょうどいいワインがあることを思い出して取りに行った。二人分のグラスも一緒に持って戻ると、明が興味津々にワインを見てくる。

「すごく高級そうだね」

「フランスの赤ワインで、何年か前に親父から貰ったんだ。せっかくだから開けてみるか。明も飲むだろ?」

「うん。飲んでみたいかも」

俺が蓋を開けると、明がグラスに注いでくれた。そのグラスを持ち上げて明がニコッと笑う。

「真夜、誕生日おめでとう」

「ありがとな」

とは言っても、三十二なんてもう自分の誕生日を喜ぶような歳でもない。でも、何年か振りに明と一緒に誕生日を過ごせて、こうして祝ってもらえるのはやっぱり嬉しい。

「かんぱーい」

明の言葉に、互いのグラスを軽くぶつけた。

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