強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
ワインを飲みつつ、明の手づくりハンバーグを食べる。

見た目では気が付かなかったけれど、中にはチーズが入っていて、切るととろりとこぼれてきて美味しかった。

残さずすべて食べ終えると、そのあとは明が予約していたケーキが出てくる。

二人で食べるので四号サイズの小さなホールケーキだけど、ちゃんとその上には俺の年齢の三と二の数字のろうそくが差してある。

それに火をつけて、明が部屋の電気を消した。

それから誕生日の定番ソングを歌ってから、俺にろうそくの火を吹き消すように促す。言われた通り一気に吹き消すと、「真夜おめでとー」と両手をパチパチと叩かれた。

それから部屋の明かりをつけると、言いづらそうに明が口を開く。

「プレゼントなんだけど、まだ用意してないんだよね。考えたんだけど思い浮かばなくて」

「いいよ、プレゼントなんかなくても。こうして俺の誕生日を覚えていて、祝ってくれただけで俺は十分嬉しいから」

俺は本心でそう告げたのに、明は納得していないらしい。

「でも、やっぱり何かプレゼントしたい」

そう呟いたあと、あ!と思い出したように声をあげる。

「ねぇ、真夜は何が欲しい?」

「えっ」

「欲しいもの言ってくれたらそれをプレゼントにするから」

どうやら俺本人に直接聞くことにしたらしい。けれど、残念ながら欲しいものは特にない。

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