強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
そんなモヤモヤとした気持ちをすっきりさせることができないまま、今日から真夜はドイツへ出張に行ってしまった。

戻ってくるのは一週間後。


「元気出してくださいよ、明さん! 旦那さんの元カノが東雲優愛みたいな美人モデルで、いまいち派手さが足りない明さんには敵わない相手だとしても、奥さんは明さんなんですからね」

千華ちゃんが私の背中をポンポンと優しくさすってくれた。

彼女なりに落ち込む私を励まそうとしているのは伝わってくる。けれど、派手さが足りないって……。

自分でも自覚しているだけにちょっとヘコむ。でも、きっと千華ちゃんに悪気はない。

千華ちゃんはハッキリとした性格の子で、思ったことをわりとズバッと口にすることがよくある。

たまにその言葉があまりにも鋭くて、グサッとくることもあるけれど、ストレートに言われることですっきりすることもあって、千華ちゃんは私の良き理解者になってくれていたりもする。


「あ、そうだ! そんなモヤモヤは、土曜日に美味しいものをたっぷりと食べたら忘れますって」

「そうかな」

食べても忘れることはできないと思うけれど。

「今週の土曜日楽しみですね、明さん!」

そう呟いた千華ちゃんの頭の中はすでに私の悩み事よりも、今週の土曜日に行く予定の Viola Luna のランチビュッフェでいっぱいになっているのかもしれない。


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