強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「ごめんね、晴斗。ママちょっと疲れちゃったから休ませて。公園はもう少し待って」

「えー、やだよー。僕もう待ちきれないよ」

晴斗君が志穂さんの手をぶんぶんと振り回す。

「早くー。公園、早くー」

「晴斗。お願い。もう少し待っててね」

「やーだー。ママの嘘つき」

晴斗君は志穂さんの手を放すと、とうとう駄々をこね始めてしまった。

「ママ早くー。公園行きたいー。約束したのにー」

大きな声で騒ぎ出してしまい、周りにいる宿泊客たちの視線が向けられる。

志穂さんは申し訳なさそうな顔で、なんとか晴斗君をなだめようとしているけれど、晴斗君の機嫌はなおらない。

「ママの意地悪。僕は公園に行きたいのに」

とうとう泣き出してしまった。志穂さんも大きなお腹をさすりながら困った様子だ。

そんな二人のやり取りを見ていた私は、泣いている晴斗君の前で膝を屈めて視線を合わせる。

「ねぇ晴斗君。ママとじゃなくてお姉ちゃんでよければ、これから一緒に公園に遊びにいかない?」

そう声を掛けると、泣いていた晴斗君の涙がピタッと止まった。

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