強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
そんな懐かしい記憶を思い出していたせいで、ついぼんやりとしてしまった。
『お土産は何がいい?』
「え」
ふと真夜の声に呼び戻されてハッとなる。そんな私に真夜がもう一度問い掛けてくる。
『ドイツのお土産。欲しいものかあれば何でも買って帰るけど、何がいい?』
「うーん……」
ドイツのお土産かぁ。
それよりも今は真夜に早く帰ってきてほしい。……とは、恥ずかしくて言えない。
「何がいいかなぁ」
のんびりと考えていると、電話の向こうで突然、真夜がバタバタと慌て出したのが分かった。続けて、部下の人らしい男性の声が遠くで聞こえて、それに対して真夜が何かの指示を出している。
『ごめん、明。そろそろ仕事に戻らないといけないから切るな』
じゃあな、と言い残して電話は一方的に切れてしまった。
もしかして、忙しい仕事の合間の時間を使って、わざわざ私に電話を掛けてきてくれたのかもしれない。
私はスマホをそっと耳から離す。
さっきまで真夜の声が響いていた右耳にはもう何も聞こえない。
‟寂しい?„
そう聞かれて、素直に‟寂しい„と伝えることができたらよかった。
今も、あのときも……。
『お土産は何がいい?』
「え」
ふと真夜の声に呼び戻されてハッとなる。そんな私に真夜がもう一度問い掛けてくる。
『ドイツのお土産。欲しいものかあれば何でも買って帰るけど、何がいい?』
「うーん……」
ドイツのお土産かぁ。
それよりも今は真夜に早く帰ってきてほしい。……とは、恥ずかしくて言えない。
「何がいいかなぁ」
のんびりと考えていると、電話の向こうで突然、真夜がバタバタと慌て出したのが分かった。続けて、部下の人らしい男性の声が遠くで聞こえて、それに対して真夜が何かの指示を出している。
『ごめん、明。そろそろ仕事に戻らないといけないから切るな』
じゃあな、と言い残して電話は一方的に切れてしまった。
もしかして、忙しい仕事の合間の時間を使って、わざわざ私に電話を掛けてきてくれたのかもしれない。
私はスマホをそっと耳から離す。
さっきまで真夜の声が響いていた右耳にはもう何も聞こえない。
‟寂しい?„
そう聞かれて、素直に‟寂しい„と伝えることができたらよかった。
今も、あのときも……。