強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
再び宿題に取りかかろうとするけれど、動揺してしまい、シャーペンを持つ手がブルブルと小刻みに震えてしまう。

真夜が遠くへ行ってしまう。

外国に行ってしまったら、すぐには会えない。

泣きそうだった。

でも必死にこらえた。

宿題の内容が頭に入ってこない。手は震えるし、シャーペンの芯を何回も折ってしまうし、もう最悪だ。

このままだと絶対に明日の登校日までに宿題が終わらない。真夜のせいだ。ここは責任をとって、私の宿題を手伝ってもらわないと。

自分が今日まで一度も宿題に手を付けなかったのが一番悪いのに、それをこのタイミングでバリ行きをさらっと告げた真夜のせいにしながら、私は必死に動揺を沈める。

けれど……


『あっ、そうだ。お土産なにがいい?』


真夜の呑気な声が聞こえてくるから腹が立った。


『欲しいものがあれば何でも買ってきてやるぞ。とは言っても、渡すのは三年後だけどな』


私は、三年も真夜に会えないんだ……。

その事実がグサッと胸に突き刺さった。


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