強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
おかしい……。

寝ているはずなのに、どうしてこんなに強い力を込められるんだろう。

もしかして真夜、起きてる?


そう思った瞬間、彼の目がパッと開いた。

「あ! やっぱり起きてた」

「おはよう、明」

「おはようじゃなくて離してよ」

そう抗議すると、わざと力を込められる。

「だから、苦しいんだって~」

私のその反応を見て真夜が楽しそうに笑っている。朝からこんな嫌がらせはやめてほしい。

「本当に苦しいから」

本気で抗議をしたら、ようやく腕の力が弱まった。でも、ベッドの中で真夜に抱き着かれているこの状況は変わっていない。本当にもう離してほしい。

でも、これ以上何かを言ってもきっと素直に聞き入れてはもらえない。むしろおもしろがって、また腕の力を強めてくるかもしれない。ここはひとまずこの状況を受け入れよう。


「真夜、何時に帰ってきたの? 帰国するの今日の夕方って言ってたよね」

「その予定だったんだけど、仕事が終わって少しでも早く日本に帰りたくて乗る便を早めたんだ。そしたら家に着いたのが深夜の二時になったけど」

ふわぁーと、大きなあくびをしながら真夜が答えた。

そんな彼に、なぜ私のベッドで寝ているのかを尋ねたところ、何でだっけ? と、とぼけた笑顔を返されてしまった。

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