強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「そんなことより明、今日なにか予定ある?」

「今日? ううん、特にないけど」

予定はないけど、できればそろそろ起きたい。朝食の準備もしたいし、洗濯もしたい。それなのに、真夜がなかなか私の身体を解放してくれない。

「ねぇ、明。何か俺としたいことない?」

「したいこと?」

またこの人はいきなりよく分からないことを聞いてくるから困る。

「俺、今日休みだから。明が俺のこと独り占めしていいよ」

「なにその言い方」

独り占めって……。

少し呆れて見つめていると、真夜が急かしたように再び告げる。

「で、俺としたいことは?」

「いや、突然そんなこと言われても思い浮かばないから」

すると、そんな私の返事が気に入らなかったのか、真夜が私のお腹に回している腕に再びぐっと力を込めて抱き寄せてくる。

「く……苦しい……」

「俺としたいことは?」

「だから突然そんなこと言われても。それよりこの腕を離してほしい」

「したいこと言ったら離してあげる」

「だって、思い付かないんだもん」

でも、言わないと離してもらえない。

「分かった言う。言うから離して」

そう答えると、真夜の腕の力が弱まった。

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