強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
確かあれは、私が九歳で、真夜が十六歳のとき。
母と一緒に水族館へ行くはずが、三日前になって母が突然体調を崩して、そのまま再入院になった。
約束していた水族館へ行けなくなったことと、母が病院へ戻ってしまったことに、私はとてもショックを受けて落ち込んでいた。
そんなとき、『じゃあ俺と行く?』と真夜が私を誘ってくれたんだ。
あのときは二人ともまだ学生だったから、今日のように車移動じゃなくて、電車を乗り継いでこの水族館まで来た。その途中で見えた海が、太陽の光に反射してすごくキレイだったことも今思い出した。
真夜がそのときのことを思い出して、今日ここへ私を連れてきてくれたのかは分からない。
でも、あれから十年以上経って、こうしてまた真夜と同じ水族館へ来ることができるなんて、あのときの私は想像すらしていなかった。