会長候補はSweets☆王子!?
『おうっ! 士堂、お前にこれやるよ』


『あー? 誰だっけ? オメー』


 学食で、パン屋から格安でもらって来た「ラスク(食パンの耳を油と砂糖でフライしたお菓子)」をかじりながら牛乳で流し込んでいると、あいつが俺の前に初めて姿を現したんだ。

 あいつは、こいつ。梶山静也だ。


『士堂って、確かギターやってるんだよな?
 俺は、梶山静也。隣の普通科クラスだ』

『それ、何? 食い物ー?』


 ギターのアンプ代を稼がなくちゃならなくて、節約まっしぐらだった高校入学当時の俺は、機械科の実習が億劫で仕方ない位に腹が減っていた。

 いつも脳内にナントカ糖が足りなくて、一日中ボーッとしてばかりだった。


 梶山が差し出した、白っぽい手のひらサイズのその物体を、俺はマシュマロ風和菓子か何かと勘違いして、口に入れようとしたんだ。


『おいっ! バカッ!! それは食い物じゃねえ!!』


 止めてくれるのが、もう少し遅れていたら、俺の前歯はポッキリ割れていたことだろう。
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