会長候補はSweets☆王子!?
『……あ? くいもんじゃねえの~?』


『見ろよ! それは、俺が美術の時間に作った紙粘土のエレキギターだ』


 すっげー、上手かった。旨かったじゃなくて、上手かったんだ。

 多分、ギター雑誌かカタログに載ってたのを見て作ったんだろうけど、エピフォンモデルのギターは、ちゃんとツマミの部分もペグの部分も、しっかりと作りこまれていて、塗装とニス仕上げまでされていた。


『で、梶山はどうして俺がギターやってるって、知ってるんだ?』


『こないだ、夜に10号線沿い走ってたら、ストリートライブしてるお前見つけた』


 たったそれだけのことだったが、妙に俺達は意気投合した。

 バイクの免許取ってからは、俺もあいつ……いや、ここにいるから「こいつ」? まあ、どっちだっちゃええけど。
 こいつの走りに付き合うようになった。

 梶山が先頭切って、俺がその後ろ、そんで平尾台のコーナリング曲がり終わった頃には、総勢……総勢……ええと? 総勢いっぱいいっぱいの人数にライダーの群れが膨れ上がっていた。

 ちなみに、俺は10以上の数をかぞえることが出来ねえ。
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