会長候補はSweets☆王子!?
 すると、俺のケータイに着信。【永末涼香】


「……ちょっと取り込み中! 後にしてくれ!!」

『大内君っ! こっちも大至急!! グラウンド裏に来て!!
 西村さんが倒れてるの!!』

「何っ!? 西村さんが? 矢田部さんはっ!?」

『ううん……とにかく早くっ!!』


 既に西村陣営の三人は、脱兎のごとく生徒会室を飛び出していた。

「おいっ!! お前たちー! 場所はグラウンド裏だぞー!?」

 背後から声を掛けると、俺を追い越して池永も全速力で走り、アドルフォさんは全員を追い抜く程の脚力で、現場へと一目散に向かった。



 ススキの生い茂る草むらの中で、制服を泥だらけにした西村さんがうずくまっていた。横では不安そうな面持ちの永末さんが付き添っている。


「姫っ!! 大丈夫か? 怪我はないか!?」

 梶山が西村さんの体を支えるように、かたわらにしゃがみ込む。

「あたしは、大丈夫。それより、矢田部さんが男たちに連れ去られた!
 犯人は4人。車は黒の左ハンドル、ナンバーまでは見えなかったけど、国道10号線の……そこの路肩に止めてあったわ」

 西村さんは、すり傷から滲み出る血を気に留めることもなく、立ち上がると車道を指差す。
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