会長候補はSweets☆王子!?
「西村さん、右に行ったか左に行ったか、分かりますか?」

 アドルフォさんは、デジカメで現場写真を何枚か撮りながら問い掛ける。

「いえ……それが」


「アドちゃん先生! 右だっ!!」と池永が叫ぶ。

「どうして分かる?」梶山が怪訝そうに聞く。


「香りだよ! 真希ちゃんの『バニラエッセンス』の香水が、右側に流れて行ってる!!」

(警察犬か? お前は!?)

 俺の驚愕をよそに、アドルフォさんは「隼人君、信じますよ!」そう言って、自分のベンツの方へと向かう。


「姫、安心しろ。俺たち全員で犯人をとっちめてやるからな」

 人懐っこい笑顔を浮かべると、小倉最大の暴走族チーム『北龍』第13代目総長・梶山静也は、一瞬で鬼神(きしん)のように険しい表情になり

「おい!! おめえら行くぞ!! おてんと様が昇っているが、そんなことは関係ねえ!! 小倉川筋(かわすじ)もんの気合と怒りば見せつけちゃる!」

「のうっ!! 俺のハートも32ビートで炸裂じゃ!!」士堂芳生も凄む。


「フレーッ!! フレーッ!! ほー・くー・りゅー・うーっ!!
 っしゃあああああああ!!」宇野潤は、可愛いボーイソプラノから一転、今はドスの効いた声を張り上げ、演舞を決める。
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