会長候補はSweets☆王子!?
「お嬢様っ!!」アドルフォさんが、パリッと着こなしたスーツ姿であたしの前に現れた。その真横には、大内君。
 そして、池永君も。


「おいっ! 林っ、真希ちゃんに手を出すなーっ!!」

 池永君が絶叫する。

「ハッ! 勝手に『手を出した』のは、お前の方だろ? 池永」


「面白くないジョークだな……」

 大内君がそう呟いたのと同時に、斧を振り上げた林君が、アドルフォさん達三人の所へと突進して来る。


(危ないっ!!)

 あたしが目を閉じた瞬間、倉庫内に2台の真っ黒な流線型のシルエットが描かれたオートバイが走り込んで来た。

 あたしの髪の横で、スピードメーターに取り付けられた、可愛らしいにゃんこのマスコットが揺れる。


 バランスを崩した林君の斧は、小麦粉をギッシリと詰めた袋を切り裂き、狭いスペースにモクモクと立ち込める粉煙。


「間に合ったみてえだな」と梶山静也君。

「おめえ、よくも俺たちまで騙しやがったな!!」士堂君のハリネズミヘアが、まるで剣山みたいに見えた。
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