会長候補はSweets☆王子!?
「いつも、池永君には助けられてばっかりだったよね?」

 そう。初めて会った時もそうだった。


「別に……何だかさ、真希ちゃんの、チーマキちゃんのそういうとこ、ほっとけなくてさ」

「ありがとう。すごく嬉しかったよ」


 あたしは池永君の顔をまともに見られなかった。
 見たら、もう我慢出来なくなりそうで……

「真希ちゃん、泣いてるのか?」

「泣いてなんか……泣いてなんかなく、なく、なくないもん!!」


「いいから、今はいっぱい泣けよ」

 そう言って、ささくれだった大きな手で、あたしの頭を優しく撫でてくれる池永君。


「池永君……あたし、あたし、これから……もう誰を信じたらいいの?」


 しゃくり上げるあたしを、何も言わずギュッと抱き締めてくれる。

「甘いバニラエッセンスの香り、隠し味は塩味」

「は、はぁっ!? ヒクッ……」


 玄界灘を吹き付ける潮風の中で、池永隼人君のあったかい体温が、あたしの胸に伝わる。
 あたしは、林君からもらったネックレスを外すと、岸壁から力いっぱい放り投げた。


(あたしの恋、バイバイ……)
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