会長候補はSweets☆王子!?
 ちょっと荒っぽくなった口調に自分でも気付いたのか、大内君は咳払いひとつ。

「とにかく、投開票日までの1週間は、相手より……西村陣営よりも少しでもアドバンテージ握って、マニフェストを広く訴えることが大切だ。

『学校内での恋愛解禁』を行うことで、どういうメリットがあるのか? それを臨時生徒総会の立候補者演説会で、はっきりと説得力ある池永の言葉で語るんだ」


 大内君は明らかに変わった。

 池永隼人って候補者を、あの密輸事件騒動以来認めつつあった。


『池永ってヤツは、最初俺が一番大嫌いなタイプだったのに、実際にああいう場面見ると認識を改めなくちゃならないな』

 そう言って、小倉港から戻る途中で大内君は言ったの。


『人間は、危機に陥った時にソイツの真価が問われる。
 池永はあの事件で、それを発揮してくれたような気がするんだ。
……向こう見ずで、自分が相当やばいのに、それに気付かないくらいになって誰かの為に暴走出来るヤツだよ』


 そして、あたしに『矢田部さんは、どエライヤツに惚れられたな』


(惚れられた? あたしが、池永くんに?)
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