会長候補はSweets☆王子!?
【平尾台自然わくわくセンター】


「亜美ねえ、懐かしいよね」

「うん。小さい頃、みんなでよく遊びに来たよね」


 平尾台花工房の体験スペースで、『さんさん・ひまわり園』の子供たちと一緒に触れ合っているのは、静也、潤、俺……士堂芳生の他に、21世紀になって何十年も経っているのに、ルーズソックスとゆるふわウェーブの髪を盛ったいかにもギャル風メイクの女子数名。


「なんでおねえしゃんは、やまんばさんみたかかっこうばしとると?」


「ヤマンバ? ヤマンバって何ね?」馴れない手つきでフラワーアレンジメントに挑戦している女子生徒の一人が、りりあんの方を不思議そうに見る。



「……姫。凄いよね。彼女たちって、みんな小倉塚第二高校では先生も手に負えなかった不良生徒ばかりなんでしょ?
 それが今は」


 前会長・塚本亜美菜さんは、ミニまつぼっくりのツリーを小学生や幼稚園の園生と一緒に作っている彼女たちを眩しそうに見守っている。


「寂しかっただけなんだよ。きっと。
 学校や親たち、それに教師が『必要としてくれてない』って感じたら、そういう女の子はいかがわしい大人達の誘惑や、最悪の場合は薬物犯罪なんかに巻き込まれることもある。
 どんな人だって、誰かに必要とされてるから、幸せでいられるんだ」


 姫子さんも微笑みながら、かつてのヤンキー娘たちの今を見つめる。
< 351 / 390 >

この作品をシェア

pagetop