会長候補はSweets☆王子!?
「こんにち……イテッ!」お決まりのマイクにおでこゴツン。
 
 ベタにも程がある。


「ええと、池永隼人。生徒会長立候補者・その②でーす!」


 そう宣言すると、大内君の書いた演説原稿を、床にぱさっと落して


「……参謀の大内ちゃん、ゴメン。俺自分の言葉で話すわ。

 はいっ!! 池永隼人でーす。
 みんなは甘いもの好きかなー?」

「好きーっ!!」と多くの女子たちが答える。

「うん。俺も大好き!! でも、もっともっとみんなのことも好きだぜ!!」

 黄色い歓声。やっぱ、ここの生徒はどっかヘンだ。


「あ、あのバカ!! 本当にバカ全開じゃねえか!?」大内君はうろたえるけど、あたしは何となく予想してた。


(もう、こうなったらこのままでいいんじゃない?)

「俺さ、ミルフィーユが一番好きなんだよね。
 甘い甘い生地の間に、ラズベリジャムやクリーム、シュガーやフルーツを挟んで、それを何層にも重ねて行く。

 何かさ、俺たちみたいじゃね?」


 大内君は「もうコイツ駄目だ!」と青ざめていたけど、あたしは不思議と笑う余裕すらあった。
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