会長候補はSweets☆王子!?
 おそるおそる顔を上げたあたしは、そこに背の高い男子生徒が、両手をめいっぱい広げて、崩れそうになっている本の束をせき止めている姿を確認しました。


 はたから見たら、有り得ない位にシュールな光景だったかも知れません。

 だけど、彼のおかげであたしは全く無傷でいられたのも確かです。


「……ったく、なーにやってんだよ!?」

 非難するような、呆れかえるような声があたしに向かって発せられます。


「ご、ごめんなさいっ!!」

 たった一言を口にするだけでも、あたしは10秒もの沈黙を必要としました。


「よいしょっ!!」

 彼は、あたしに背を向けたままの状態で、受け止めた大量の本をパズルをはめこむように本棚に戻します。

「……声、小さいよ。アンタ」


「はっ! はい、すみません」「謝るときは、相手の目を見てちゃんと話せよ」


 そう言って振り向いた彼は、座り込んでいるあたしを見下ろす程の背の高さで……180センチはゆうに超えてたと思います。

 均整のとれたスラッとした手足の長さと、日焼けした肌、切れ長のブラウンの瞳が吸い込まれそうなくらいキレイで、その整った顔であたしをじーっと見ています。
< 4 / 390 >

この作品をシェア

pagetop