会長候補はSweets☆王子!?
「さーて、これをどうするかだな」

 池永君の一言で、あたしは今自分が置かれてる状況を再認識しました。


 高い高い、あたしみたいなチビッ子には、絶対に手が届かない位置に整然と並べられてた文学全集や単行本、あたしのドジで通路中にたくさんばらまいてしまったのです。

(どうしよう~?)

 思わず泣き出しそうになってしまいました。


「チーマキちゃん」

「はっ!?」

「小さいマキちゃんだから、『チーマキちゃん』に決定ね!」


 池永君は何が面白いのかそう言うと、そこいら中に散らばった本を拾い上げ、あたしに聞いてきました。

「チーマキちゃん、この本ってどこにしまったらいいの?」

「ひゃっ、ひゃいっ!」

 男の子から名指しで呼ばれて、あたしは信じられない位にヘンな声を返してしまいました。

「ねえ、どこ?」

「……フランツ・カフカさんの『変身』は、その真正面のチェコ文学のコーナーです」

「ふーん、チーマキちゃん詳しいね。オレ基本的にここは昼寝する時に使うくらいだからさ。何がどこにあるかなんて、サッパリだ」

 え? あたし、誉められたのかな?

 どうでもいい些細なことにも、今のあたしは気になって仕方ありません。
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