四季〜巡る時を、君の隣で〜
千夏が心配してくれるのは嬉しいけど、やっぱり夏祭りに行きたい。一年に一度しか着ない浴衣を着て、二人で夜空に浮かぶ大輪を見たい。でも、言っても「ダメだ!!」って返されるんだろうなぁ……。

二人で夏だからという理由でホラーゲームをして、どんどん夜になっていく。今日の夕食はそうめん。食欲がなくても、冷たいものは食べられる。

「なあ、浴衣着てくれ」

夕食の準備をそろそろしないとなと思っていた時、千夏にそう言われる。あたしは「へ?お祭り行かせてくれないのに?」と返した。

「祭りの気分、ちょっとでも味わいたくて……」

千夏がそう言い、かばんの中から出したのはグレーの浴衣と花火。

「えっ!千夏も着てくれるの!?」

「去年、お前が着てたからな」

私が目を輝かせると、千夏は照れくさそうに言う。あたしはドキドキしながら浴衣を手にし、千夏に部屋から一旦出てもらって着替えた。

「これでよしっと!」
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