ストロベリーキャンドル
仁が笑ってそう言う。
言われてみれば、確かに前の私は謝ってばかりだったけれど、
最近はありがとうの方が多くなっている気がする。
変われたんだとしたらそれは仁のおかげ。
仁が私を引っ張って行ってくれるから、
私はなりたい方向に進んでいけるの。
もう、怖いくらいに幸せ。
「そうそう。今日急に決まったんだけど、
来週から俺、出張に行かなきゃならないんだ」
「えっ、出張?」
「うん。アメリカの方に1か月。
会社のグローバル化を図って試験的に会議を行うみたいなんだよね。
それを任せられてさ」
アメリカなんてすごく遠い。
仁のいない1か月なんて不安が頭を過るけれど、
そんな大役を任せられた仁を誇りに思う。
ここは笑って送り出さないとね。
「すごいじゃない。頑張ってきて。
ものすごく寂しいけど、
仁がいない間は私がこの家を守るから」
「頼もしくなったね。ありがとう。頑張ってくるよ」
2人で笑いながら楽しく食事を終えた。
お風呂に入って、2人でベッドにつく。
電気を消すと、仁が私にキスをしてくれた。
このキスが、合図。
結婚したら、仁は私と体を重ねてくれるようになった。
彼曰く、私の体のことも考えて、
結婚するまでは我慢していたらしい。
そういうところが紳士的な彼らしい。
今日も幸せを感じて彼に身を委ねた。
彼の求めるがままに受け入れると、
彼も喜んでくれる。
それが嬉しかった。
こうして彼と体を重ねることは、
どんな時よりも幸せだった。
事を終えて、彼の腕の中で眠りそうになっていると、
優しく髪を撫でられた。
それが心地よくて目を閉じる。
すると彼は耳元で囁いた。
「明日は土曜日だから、
またオムライス、食べに行こうか」
「うん。行きたい」
「じゃあ、予約しておくよ。おやすみ、奏音」
「おやすみ、仁」