ストロベリーキャンドル



「なぁ、お前は何で俺なんかといるんだ?
 なんで離れないんだ?」


「それは、あなたが大好きだからよ」


「それなら、殺してくれよ」


「えっ、仁……」


「こんな俺なんか、生きていたって意味ないだろ。
 早く殺してくれよ。なぁ、殺せっ!」


私の肩を掴んで、大きくゆする。
私はもう、涙が止まらなくて仕方なかった。


こんな風に仁は変わってしまった。
前までは、こんなに心を乱すことなんかなかったのに。
いつでも私のことを正しい道に導くような人だったのに。



仁はおもむろに自室を出て、キッチンに向かった。
そしてそこから、いつも料理に使う包丁を取り出してきた。


きらりと刃が輝く。
それを見た時、嫌な予感がしてさっと顔を青ざめさせた。
血の気が引いていく。


まさか、仁……。


「仁、やめて。それをこっちにちょうだい」


「生きていたって仕方ない……」


「仁。お願い。バカなマネはやめて」


「死ねばいいんだ。死んで楽になりたい」


「仁!」


「うわぁああああああ!」





仁が包丁を振り上げた時、私の体は無意識に動いていた。
もう一度意識が戻って来た時には、激しい痛みが襲っていた。


「っつぅ……」


「あっ……うあ……」


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