ストロベリーキャンドル
ぶるりと震えた。
まさか、まさかそんなはずは……
記憶が戻ったのになんで?
どうして仁はいなくなるの?
いろんなことが頭をぐるぐると回る。
とにかく探そうと思って、会社に行ってみた。
会社は開いていなくて、どうしたものかと途方にくれる。
手あたり次第、行きそうな場所を探してみたけれど、
やっぱり仁はいない。
どこに行ったの?
『明日、またオムライス、食べに行こうか』
「モリノ……」
昨日の仁の言葉を思い出して、私は走った。
モリノに着くと、当然お店は開いていなかった。
そう言えばマスターが腰を悪くしたからお店は休むって言っていたっけ。
仁はもしかしたら……。
すぐに美奈さんに電話をすると、
美奈さんは3コールで電話に出た。
「もしもし、奏音ちゃん?おはよう。どうしたの?」
「あ、あの。今お店の前にいるんですけど……
仁、来てませんか?」
「仁くん?ちょっと待って」
すぐにお店の明かりがついて、
中から美奈さんがパジャマ姿で出てきた。
「仁は、仁は来てませんか!」
「仁くんなら来てないけど、どうしたの?」
「いなくなってしまったんです。
朝、姿が見当たらなくて。
書置きも何も……なくて」
「落ち着いて。あたしも探すから」
「お、お願いします」