新妻はエリート外科医に愛されまくり
長い睫毛を伏せ、私の指を唇でくすぐる彼に戸惑い、


「颯斗……?」


怯みながら、目線で窺った。
颯斗は無言で、私を上目遣いに見据える。


「早く、君の全部で、俺に堕ちろ」

「っ……」


いつか言われたことのある、強く真剣なその言葉。
あの時の鼓動と同化して、私の胸は大きく弾み、そしてきゅんと疼く。
颯斗は私の反応をすぐ目の前から観察して、ふっと目力を和らげた。


「愛してるよ。葉月」


掴んだ手をそっと離すと、私の前髪を退けて、露わになった額に唇を押し当ててくる。


「っ、はや……」

「腹減ったな。葉月、メシにしよう」


明るい口調で言って、スッと背筋を伸ばした。
再び私に背を向け、寝室に入っていく。


「う、うん……」


私は彼の唇の感触を追うように額に手を当て、頬を火照らせた。


「すぐに、準備するね。今日は、ホワイトシチューなの」


少し上擦った声をかけると、寝室の中から「おー」と返事が来る。


「いいね。あったまる」

「今日は寒かったから、ちょうどいいでしょ」


普段と変わらない、日常的な会話を交わしながら、私は急いでキッチンに向かった。
シチューが入った鍋を温め直しながら、優しい速度で打ち鳴る鼓動を意識して、左手を当てた。
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