新妻はエリート外科医に愛されまくり
そんな連絡を受けて、十二月を迎えて最初の土曜日の今日。
ニューヨークでのシンポジウムを終え、アムトラックに乗った美奈ちゃんと木山先生を迎えに、私と颯斗はフィラデルフィア駅にやって来た。


州を跨ぐ長距離列車が発着する駅は、空港のように広々としている。
列車の発着状況を示す掲示板に、あらかじめ連絡を受けていた列車のアライバルが表示されると、並んで腰を下ろしていたベンチから、颯斗がスッと立ち上がった。


到着したばかりのアムトラックが停まったホームから、続々と乗客が出てくる。
その中ほどで、美奈ちゃんと木山先生を見つけて――。


「美奈ちゃん! 木山先生!」


私は声を張って呼びかけ、大きく腕を振った。


「あ」


辺りをきょろきょろと見回していた美奈ちゃんが、いち早く私に気付く。


「葉月さ~ん!!」


大きなスーツケースを引っ張って、すごい勢いで駆けてくる。
その後ろからゆっくりと歩いてくる木山先生に、「転ぶぞ~」と揶揄されながら、無事に私の前まで辿り着いた。


「葉月さんっ!」

「わっ……」


飛びつくようにして抱きついてくる彼女を、慌てて両腕で受け止める。


「嬉しいっ。ずっと遊びに来たいって思ってて、やっと叶いました!」


笑顔を弾けさせる美奈ちゃんに、私も顔を綻ばせる。
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