新妻はエリート外科医に愛されまくり
広場に植えられたたくさんの木々に、イルミネーションが施されている。
日が落ち、暗い夜空の下で、キラキラと金色に輝いていた。


「我が病院名物の、クリスマスイルミネーションだよ」


後から追いついたレイさんが、どこか誇らしげに腕組みをして教えてくれた。


「敷地の中央だと、周りを囲んで建つ病棟からもよく見えるでしょう? だから、毎年ここをライトアップするの」


メグさんが補足するのを聞いて、私は辺りをぐるっと大きく見渡した。
この広場を囲む数々の病棟の窓辺に、入院患者さんの姿も見られる。


「そうなんですね……」


両手を合わせて「ほおっ」と息を吐くと、颯斗が目を細めて笑った。


「ごめん。去年は俺も忙しくて、このタイミングで葉月を呼んでやれなかったんだけど。ちょうど昨日、点灯式だったって聞いてさ。君にも見せたくて」

「そうなんだ。ありがとう、颯斗」


私も顔を綻ばせて、彼の腕にしがみついた。


「そっか……クリスマス……」


去年も。そして今年も、クリスマス近くに、颯斗にはオペの予定が入っている。
クリスマスを家で一緒に過ごすことはできないけど、少しでも私に華やいだ気分を、と彼が気遣ってくれたのが感じられる。
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