新妻はエリート外科医に愛されまくり
「今年は、ケーキくらい用意しようかな……」


輝く木々を見上げながら、呟いた。
それを聞き拾った様子で、颯斗が私を見下ろしてくる。


「ケーキ? 作るの?」

「うん。いらない?」

「いや」


彼はクスッと笑うと、再び目線を上げる。


「嬉しい」


見上げた横顔が、言葉の通り柔らかく緩んでいたから、私も自分を鼓舞して大きく頷いた。


「見てて。とびっきりの作ってあげ……」


言い切る前に、一瞬目の前の景色がグラッと揺れた。
覚束ない感覚。
反射的に、颯斗に回したままの腕に力を込める。


「葉月?」


それに気付いたのか、彼が訝し気に名前を呼ぶ。


「ごめん。だいじょう……」


またも最後まで口にできないまま、私は強い眩暈に襲われた。


「あ……」


こんなにも眩いイルミネーションの真ん中で、目の前が真っ暗になる。
腕から力が抜け落ち、私はその場に頽れた。


「っ……葉月っ!?」


颯斗の鋭い声が、耳の鼓膜を刺激する。
続いて、レイさんとメグさんの声も届いた。
だけど、私はしゃがみ込んだまま、自力で立ち上がることができなかった。
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