新妻はエリート外科医に愛されまくり
期待いっぱいに悪戯っぽく急かされ、私は赤面するしかなかった。


『お二人の赤ちゃん、楽しみです! どちらに似ても、すごいイケメンか美女にしかならないですもん!』


披露宴で会った時、日本で同僚だった美奈ちゃんは、賑やかにはしゃいだ。


『君はいつになっても顔だな』


憚ることなく公言する『イケメン好き』を、木山先生に揶揄されても、まったく動じる様子もない。
相変わらずの彼女のテンションに、颯斗もちょっと照れくさそうだったけど、まんざらでもない様子で嬉しそうだった。


二人では贅沢すぎる広い家は、アメリカに移住する際、颯斗の同僚のブラウン博士と秘書のメグさんが、『長い目で見て、子供ができたらこのくらいの広さは必要でしょう?』と、先走って手配してくれたものだ。


颯斗や周りの人ばかりじゃない。
私だって。私だって――。


颯斗と夫婦になった今、次に望むのは彼の赤ちゃんだ。
幸せすぎる結婚一日目を踏み出し、今以上の幸せを信じて疑わなかった。
子供が生まれて家族になって、これから一生、最高の幸せが、当たり前に続くものだと思っていたのに……。


「妊娠しにくい……。彼の子供、産めないかもしれない……? 嘘でしょ」


頬の筋肉が引き攣り、顔が強張った。
呆然と呟いた声は、自分のものではないように聞こえた。
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