新妻はエリート外科医に愛されまくり
やや戸惑った様子で、こちらに目線を上げる。
彼女は、私たちの日本での同僚、美奈(みな)ちゃんだ。


私、仁科(にしな)改め各務葉月と颯斗は、日本の東都大学医学部心臓外科医局で出会った。
彼はアメリカ留学帰りの心臓外科医で、准教授。
私は医局秘書。
今、彼の仕事の関係でアメリカのペンシルベニア州在住の私たちが、日本での挙式を望んだのは、お世話になった教授や元同僚たちを招きたいというのが、一番の理由だった。


美奈ちゃんの周りには、他にも懐かしい人たちが佇んでいる。
みんな、ブーケを手にした美奈ちゃんを冷やかしながら、私たちに祝福を向けてくれた。


「各務先生、葉月! おめでとうございます!」

「末永くお幸せに!!」


拍手が沸く中、美奈ちゃんが大きく手を振った。


「各務先生! 葉月さん! どうぞ、お幸せに~!!」


明るく元気な祝福に、私は顔を綻ばせる。


「ありがとう、美奈ちゃん!」


私の隣に進んできた颯斗も、医局の面々たちに柔らかい笑みを向け、一度深く頭を下げた。
そして、私の肩に手を回し、「行こう」と先を促す。


それには頷いて返した。
この後、私たちは、披露宴の準備に入らなければならない。
『後でね』という思いを込めて、みんなに小さく手を振った。
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