新妻はエリート外科医に愛されまくり
「あのイケメンが、英雄の旦那様なんでしょ?」

「ど、どのイケメンかって聞きたいとこですけど、多分間違いなく彼です」


あまりの照れ臭さで、回りくどい言い方をしてしまった。
でも、フィラデルフィアで私が一緒に歩く男性なんて、颯斗くらいなもの……。


「それー。俺かもしれないじゃないですか?」


学君がどこか憮然として、私の隣にドカッと座った。


「あ、ああ。学君とは、学校終わってから駅まで一緒に帰ることもあるね」


もう一人いたか、と思いながら、私はなんとなくそう答えた。
だけど、遠山さんは意地悪にニヤッと口角を上げる。


「鈴木君なら、私だってわかるわよ。第一、超イケメンって言ったじゃない」

「うわっ……酷っ!」

「嘘みたいな美男美女で、すっごいお似合いだったわよ。仁科さん」


憤慨する学君は無視して、頬杖をついてクスクス笑っている。
颯斗と『お似合い』と言われるのは悪い気がしなくて、私の頬も緩む。
そんな私に、学君がじっとりとした目を向けてくる。


「葉月さんって、やっぱり男を顔で選ぶタイプですか……」

「えっ!? いや、全然! 違うから」


私は吹き出しそうになって、慌てて勢いよく首を横に振った。
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