新妻はエリート外科医に愛されまくり
「そんなこと言っても、旦那様があれじゃあ……」

「しかも英雄ときたしね」


一瞬前まで『敵』だった二人が、タッグを組む。
両脇から固められ、私はううっと首を縮めた。


「ほんとなんです。むしろ私、イケメン嫌いだったし……」


なぜか肩身が狭い。
言い訳としか取られないとわかっていても、悪足掻きのつもりでボソッと零した。


「えっ! なんでまた」

「……まあ、いろいろです」


机に肘を突き、組み合わせた両手の指に顎をのせてうそぶく。
学君が、不服そうに唇を尖らせた。


「旦那さんが超イケメンドクターじゃ、説得力全然ないじゃん」

「! だから、それは」

「まあねえ。でも、あんなイケメンと毎日同じ家で生活してたら、私は心臓もたないな。よかった。平凡な顔の旦那で」


悪戯っぽく揶揄する遠山さんに、ほんの少し頬を膨らませてみたものの、言われたことには共感も覚える。


……実際、心臓もたないこと、たくさんあるし。
思考がピンク色に染まる気配が漂い、私はハッとして気を引き締めた。


「……ねえ。仁科さんって、新婚さんよね」


遠山さんが、目線を上に向けて、思い出したように呟く。
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