新妻はエリート外科医に愛されまくり
語学学校からの帰り道、颯斗から『今夜、オペに入る』と連絡があった。
心移植手術が普及しているアメリカでは、その機会は突然、そしてわりと頻繁に舞い込む。
准教授の彼には、大学の講義や医学セミナーの講師など、臨床から離れた仕事もあるけど、オペが組まれていないというのは、緊急時への対応がしやすいメリットに繋がる。
今日は、オペはなかったはず。
九十九パーセント、心移植手術だろう。
彼が勤務する大学附属病院は、ここから車で十五分ほどの位置にある。
そこで今夜、颯斗が心移植手術に臨む……。
私は、一度だけ、日本で見学したことがある。
一分一秒を争う、緊迫感に包まれたオペ室。
キビキビとした迅速なやり取り。
それぞれの術者が発する研ぎ澄まされた緊張感で、室内の空気はキンと音がしそうなほど、張り詰めていた。
そんな中、颯斗は堂々と執刀医を務めた。
彼の、美しく繊細に動く神の手。
あれから一年以上経っても、私の目に焼きついたまま離れない。
オペ室の中二階にある見学ルームから、その様を見つめていた私の鼓動は騒ぎ、胸が熱くなったのを思い出す。
目を閉じ、あの時の彼を網膜に浮かべるだけで、今もなお、胸のドキドキは治まらない――。
「ただいまー……」
誰もいないとわかっているのに、声をかけながら家に入った。
ポストから抜き取ってきた郵便物を手に、リビングのソファにドスッと腰を下ろす。
心移植手術が普及しているアメリカでは、その機会は突然、そしてわりと頻繁に舞い込む。
准教授の彼には、大学の講義や医学セミナーの講師など、臨床から離れた仕事もあるけど、オペが組まれていないというのは、緊急時への対応がしやすいメリットに繋がる。
今日は、オペはなかったはず。
九十九パーセント、心移植手術だろう。
彼が勤務する大学附属病院は、ここから車で十五分ほどの位置にある。
そこで今夜、颯斗が心移植手術に臨む……。
私は、一度だけ、日本で見学したことがある。
一分一秒を争う、緊迫感に包まれたオペ室。
キビキビとした迅速なやり取り。
それぞれの術者が発する研ぎ澄まされた緊張感で、室内の空気はキンと音がしそうなほど、張り詰めていた。
そんな中、颯斗は堂々と執刀医を務めた。
彼の、美しく繊細に動く神の手。
あれから一年以上経っても、私の目に焼きついたまま離れない。
オペ室の中二階にある見学ルームから、その様を見つめていた私の鼓動は騒ぎ、胸が熱くなったのを思い出す。
目を閉じ、あの時の彼を網膜に浮かべるだけで、今もなお、胸のドキドキは治まらない――。
「ただいまー……」
誰もいないとわかっているのに、声をかけながら家に入った。
ポストから抜き取ってきた郵便物を手に、リビングのソファにドスッと腰を下ろす。