新妻はエリート外科医に愛されまくり
今夜は一人だし、夕飯は適当でいい。
なににしようかな、と考えながら郵便物を改め、私はギクッと手を震わせた。


颯斗宛の英語の封書がほとんどの中、日本語の病院名が印刷された封筒。
宛名は英語だけど、私宛。
この間の人間ドッグの結果だ。


私は、逸る気持ちを抑えて封を開けた。
検査の結果と、封緘された白い封筒が出てくる。
『Medical referral letter』。
日本語で、『患者紹介状』――。


問診を担当してくれた女性ドクターから、英文紹介状を書いてくれると聞いていた。
これが同封されているからには、間違いない。
アメリカで受診すべき所見があったということだ。


私は、重い心拍を伴って騒ぎ出す胸に手を当て、検査結果に目を落とした。
コンピューターで分析された確定診断は、検査後、口頭で受けた内容とほぼ変わらない。
紹介状を手にした私は、焦燥感に駆られた。


「妊娠しにくい体質……その疑いが、色濃いってことよね」


独り言ちると同時に、私の手から検査結果の紙がひらりと落ちた。
目の前が真っ暗になり、無意識に身体を前に倒して、頭を抱え込む。


『お子さん、お望みですよね?』


あの時の女性ドクターの言葉が、脳裏を過ぎる。
一刻も早く、精密検査を受けないと。
疑いがあるなら、治療を開始しないと。
私の思考は、当然のように動き始めた。


治療は早ければ早いほどいいと、日本で買ってきた本にも書いてあった。
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