新妻はエリート外科医に愛されまくり
幾つもの要因が複雑に絡まっていることもあり、不妊治療には莫大な時間と費用がかかることが多い。
治療には、根気が必要。
さまざまな検査には、苦痛を伴うことも多々ある。
だけど、そこまでしても、子供を授かるかどうか、絶対ではない。
――そこまでして、治療って必要?
本から得た知識ばかりが先走り、私は怯んでいたのかもしれない。
そんな疑問が、ふっと胸に湧いた。
芽生えた迷いに心が揺れ、遠山さんと学君の会話が浮かんでくる。
『守るものが少ない方がいい』
銃撃事件で、私は颯斗に守られるだけだった。
もしも私たちに子供がいたら、私は、あの状況で、守ることができただろうか。
守るものが増えて、颯斗を危険に晒すだけなんじゃなかろうか……。
「颯斗の負担になるなら、いっそ子供なんて……」
今在るものを大事にして。
遠山さんだって、『自信がない』って言った。
多くを望まずにいるのが、正しいのかもしれない。
そうやって、弱気になって怖気づき、先行き不透明な不妊治療に怯む自分への言い訳をする。
だけど。
――違う。
だって、遠山さんご夫婦にはすでに一人子供がいる。
でも、私と颯斗にはいない。
いつか日本に帰国する時が来て、欲しくなっても、叶わないかもしれない……。
思考がその先に進まない。
私は両手で覆った顔を伏せ、答えが出せない天秤を心の中で揺らし続けた。
治療には、根気が必要。
さまざまな検査には、苦痛を伴うことも多々ある。
だけど、そこまでしても、子供を授かるかどうか、絶対ではない。
――そこまでして、治療って必要?
本から得た知識ばかりが先走り、私は怯んでいたのかもしれない。
そんな疑問が、ふっと胸に湧いた。
芽生えた迷いに心が揺れ、遠山さんと学君の会話が浮かんでくる。
『守るものが少ない方がいい』
銃撃事件で、私は颯斗に守られるだけだった。
もしも私たちに子供がいたら、私は、あの状況で、守ることができただろうか。
守るものが増えて、颯斗を危険に晒すだけなんじゃなかろうか……。
「颯斗の負担になるなら、いっそ子供なんて……」
今在るものを大事にして。
遠山さんだって、『自信がない』って言った。
多くを望まずにいるのが、正しいのかもしれない。
そうやって、弱気になって怖気づき、先行き不透明な不妊治療に怯む自分への言い訳をする。
だけど。
――違う。
だって、遠山さんご夫婦にはすでに一人子供がいる。
でも、私と颯斗にはいない。
いつか日本に帰国する時が来て、欲しくなっても、叶わないかもしれない……。
思考がその先に進まない。
私は両手で覆った顔を伏せ、答えが出せない天秤を心の中で揺らし続けた。