また、君の夢を見ていた
プロローグ
『ねぇ、もうきいた?西田のこと』
幼なじみの愛衣からそんなLINEが来たのは、2月も中盤、まだ寒さが抜け切らないある夜のことだった。
高校を卒業して以来滅多に会うことも話すことも無かったけれど、彼女から久しぶりに連絡が来ても私はさほど驚かなかった。それはなぜか?ついこの前、西田湊が……私の元カレが、事故に巻き込まれ、もう永遠に会えないところまで行ってしまったということを、私は知っていたからだ。
心配性でいつも周りの人のことを気にかけている愛衣のこと。きっと連絡が来るだろうと思っていたら携帯が短く震えて、手に取った。
『うん。最近知った』
『私今知ったんだけど
お葬式とか行った?』
『行ってない
その時知らなかったし』
『里奈、大丈夫?』
『大丈夫。もう他人だからさ、』
関係ないよ、と打ちかけて、やめた。そんなことを言おうとした自分がひどく薄情な人間に思えて辛かった。
『そっか
悩みとかあれば、いつでも聴くからね
暇なときまた遊ぼうよ
新しくできたお店で行ってみたい所があるんだ〜』
優しい言葉にじんわりと胸が熱くなる。ありがとう、なにそれ行きたい、と返してスマホを放り、ベットに仰向けになって目を閉じた。
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