夢の中の世界
大きく見開かれた目には涙が溜まっていた。


「いい加減やめなよ恵一! そんな風に威圧的な態度を取るから伝えたいことの半分も伝えられないんだよ!?」


あたしは恵里果の肩を抱いて言う。


「そうか? それならゆっくり説明してみろよ」


どうして恵一は恵里果を敵視しているのだろう?


これ以上、親友の傷つく姿は見ていられない。


恵里果の体を強くだきしめた時だった。


「あたしが関係しているとすれば、あの日珠と遊ぶ約束をしていたからでしょ!? たったそれだけで、なんでここに来なきゃいけないわけ!?」


と、恵里果が叫んでいた。


「恵里果、落ち着いて」


確かにあの日、あたしは恵里果に誘われて家から出た。


家にいれば事故には遭わなかったかもしれないけれど、恵里果が事故に関係しているとは言い難い、日常的な誘いだった。
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